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【COLUMN/TIES】丸の内 小林:ナポリ解体新書 ⑦ ~ナポリにて~

2022-3-11MARUNOUCHI TOKYO MIDTOWN

ナポリ本店1階、正面奥の壁面に掲げられる”ブルボン家”御用達のワラント。偶然か必然か、その昔に両シチリア王国の”凄腕王室建築家”がメイン部分の改修を手掛けたサトリアーノ宮殿の1階に、後にマリネッラは店を構えることになります。

 

 

こんにちは、マリネッラ ナポリ 丸の内 の小林です。いつも私ども、マリネッラのブログ、公式オンラインストア▶FLOENS TOKYOをご覧下さり、誠にありがとうございます。心より、御礼申し上げます。

 

さて、みなさま、いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。これまで、私のイタリアや、ナポリ遍歴などを長々と書かせて頂きました。そこで、今回は、手前味噌で恐縮ではありますが、マリネッラの魅力について、改めて少しだけ書かせて頂こうかと思います。

 

そもそも、私ども、マリネッラの本店があるナポリですが、イタリアの中でも、群を抜いての治安の悪さを誇ります。その昔は、”ナポリ中央駅では電車を降りずに乗り過ごせ”、”イタリア人でさえもナポリには行きたがらない”などと揶揄されるほどでした。

 

しかし、みなさまご安心下さい。現在では、治安は改善傾向で、あの悪名高きナポリ中央駅も改修改善が行われ、美しく利用しやすい駅に見事な変貌を遂げました。そして、何と、悪の巣窟と呼ばれたあのスペイン人地区でさえも開発が進み、ナポリ家庭料理を出す店等もできたりと、地元のナポリ人以外も利用しやすい環境が整いつつあります。(手前の限られたエリアだけです)

 

ただ、偏に治安が悪いと言っても、エルメスなどを筆頭に高級ブランドの店舗は、市内のいわゆる高級エリアゾーンには多数点在し、そのエリアは治安も良好でエレガントなエリアとされます。(それでも、時計や貴金属などは身に着けない方が良いです)

 

そして、マリネッラもそのエリアに店を構えるわけなのですが、この、”混沌と整然”、”善と悪”といった、相反する要素が織り交ぜられた中に、100年超の歴史を刻みながら、1914年の創業当時を想像させるクラシカルな店舗のまま、当時とそれほど変わらぬ姿で今日も在り続けるという存在が、またその魅力を増幅させる要因の一つなのではないかと分析しています。

 

なぜか、イタリア人でさえも”ナポリ本店で購入したい”と、店舗のあるミラノやローマから、わざわざ”タイを求めにナポリまで足を運ぶ”というくらい、ナポリ本店には”人を引き付ける不思議な魔力がある”と、実しやかに囁かれるほどです。これは、やはり、1914年の創業から、ヴィットリア広場前に変わらず店を構え、100年超の長きに渡り親子4世代で店を守り続ける矜持から生み出される魅力ではないかと思います。

 

そして、そのナポリ本店が入居する建物、ナポリでも屈指の由緒ある建造物で”サトリアーノ宮殿”と呼ばれます。1605年にサトリアーノ王子により命を受けて建立。そして、1787年にはイタリア紀行でお馴染み、何とあのゲーテもここに逗留したとされる歴史的建造物の1階部分に店を構えます。

本店1階から2階の店舗に行く為の建物内部の階段。真夏でも涼しい石造りの階段は、その昔、貴族が馬のまま上がれるよう階段の幅を広く、高さは低く設えられたそうです。天井から下がる電灯や扉なども歴史を感じさせます。

 

余談ですが、このサトリアーノ宮殿ですが、長い年月をかけ拡張や増築が施されましたが、19世紀半ばにナポリ人建築家ガエターノ・ジェノヴェーゼによりメインフロアの大々的な改修がされたそうです。

 

このガエターノ・ジェノヴェーゼですが、当時、両シチリア王国の王室建築家のディレクターとして活躍をした凄腕の建築家。後に、ブルボン家御用達のワラントを拝受するマリネッラが、偶然か必然か、その建物に店を構えるとは、何とも不思議な”いにしえの縁”を感じざるを得ない、何か見えない力が働いているのではないかと思わせる史実も何とも惹かれてしまいます。

前述の階段を上ると見えてくる、本店2階店舗への入り口部分。間口は狭いですが、この奥にはゆったりとしたスペースが広がる、マリネッラのオールアイテムが揃う売場が広がります。正に、ある意味ではマリネッラの本丸。小物からスミズーラに至るまで、マリネッラを知り尽くしたエキスパートのスタッフがお買い物のサポートをしています。

 

歴代イタリア共和国大統領、シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相、チャールズ皇太子、マルチェロ・マストロヤンニ、ナポリの喜劇俳優トトなど、要人から文化人に至るまで、目の肥えた名だたる紳士を虜にするマリネッラ。

 

ナポリでは、20㎡弱の小さなナポリのネクタイ店が、どうしてこれほど世界に名を馳せる存在になったのか、ナポリ大学の学生が卒論のテーマとして研究に訪れることも多いと聞きます。

 

そして、あるインタビューで、その理由を聞かれたオーナーのマウリッツィオは、ただ一言こう答えます「ミラクル(奇跡)だ」と。そして、こうも言います、「間違いなく、揺るぎない勇気を持って道を切り開いた、創業者である祖父エウジェニオのおかげだ」とも。

 

 これは、私が以前、本店にいらした地元顧客と思われる60代後半と思しき男性から教えてもらったマリネッラにまつわる話です。その男性曰く、

 

「イタリア、とりわけナポリでは、男性から女性に贈る正式なプレゼントはスカーフであり、同じく、女性から男性に贈る場合はネクタイである。そして、もちろんネクタイは男性から男性にも贈る。」

 

「そして、自分が思うにマリネッラのネクタイが贈り物としても優れているところは、質が良いことはもちろんだが、裏地を使わないことにもある。つまり、”裏”が無いんだよ・・・。」

 

と、にっこり話されていました。言葉の問題からジェスチャー混じりで教えてもらったこの話、凡そこのような内容かと思うのですが、「なるほど、溢れる敬意と、誠実な気持ちをネクタイに形容して相手へ贈るという、何とも哲学的な洒落たことをするのだな」と、妙に納得したことが思い出されます。

 

 

注:マリネッラのネクタイのほとんどは、いわゆる裏地を使用せずに、表地のシルク生地を裏地にも使用する”セルフティッピング”という仕立てで作られます。これにより、一般的なネクタイの倍量ほどのシルク生地が必要となりますが、裏地素材では味わうことの出来ない、ふっくらとした立体感と、見た目にも贅沢な仕上がりを楽しむことができます。

 

 

この男性、ラルフローレンのキャンバス製デッキシューズにベージュのコットンパンツ、スミズーラであろうリネン素材のボタンダウンシャツというリラックスした夏の出で立ち。そして、日焼けした腕には70年代製と思われる小振りなカルティエのタンクノーマルが巻かれ、何とも上品な雰囲気が印象的でした。

 

きっと、ヴィットリア広場のご近所の住人で、こういう方が貴族の末裔だったりするのかななどと、邪な推察をしながら、その時ほど、対する自分の”ナポリ滞在仕様の、小汚い短パンTシャツ姿”を恥ずかしく思ったことはありませんでした・・・。

 

というわけで、このような地元ナポリを始め世界中の紳士を魅了させるマリネッラ。その要因は、単に”ミラクル”だけでなく、創業当時から変わらずエレガンスとクオリティーを代々頑なに守り、お客様に喜んでいただくことをモットーとする哲学を100年超の長きに渡り積み重ねてきた結果ではないかと思います。

ナポリ本店1階での、貴重な2ショット(左:アレッサンドロ / 右:マウリッツィオ)。創業者エウジェニオから100年超の間、世代は変われど同じ場所で代々伝統を守り続けます。

 

そして、ナポリの空が白む朝6:30からナポリ本店の店頭に自らが立ち、世界中からナポリを、そしてマリネッラを訪れるお客様のおもてなしをするマウリッツィオの情熱と、後世を引き継ぐ4代目アレッサンドロの幼少期から培われたであろう慧眼により、今日も”未来のマリネッラ”に向けて歩みを止めることなく着実に進み続けています。

 

それでは、また次回に。

 

お付き合いを頂き、ありがとうございました。

 

丸の内にお越しの際は、是非、店頭にも遊びにいらして下さい!

 

 

 〈次回へ続く〉

 

 

※マリネッラのネクタイはオンラインショップFLOENS TOKYOでもご購入いただけます。

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